京都大学法科大学院 平成24年度 |
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科目名:国際法1[International Law I] | 担当:酒井 啓亘 | 区分: 選択科目II | ||
配当年次: 2・3 | 開講期: 前期 | 曜時限: 月3 | クラス数: 1 | 単位: 2 |
概要
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国際法1(前期)および国際法2(後期)をあわせて現代国際法全般を体系的に講義する。国際法1では、主として国際法の総論的部分と、国家の地位および国家管轄権、さらに人的管轄にかかわる領域を取り扱う。上記分野に関連する国際法規則の内容を把握するとともに、その背景にある考え方を考察することが本講義の目的である。 |
授業形式
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講義形式を主とするが、双方向・多方向形式も併用する。 |
授業内容
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1.国際法の基本構造と国際法上の基本原則国際法の妥当基盤としての国際社会の構造、国際法の規範的特性、国際法の発展の歴史、国際法の主体について解説する。つづいて、国際社会における基本的な法原則として、国家主権の概念、国家平等原則、国際法上の不干渉義務、人民の自決権等について概説する。 2.慣習国際法の適用 国際法の法源を形式的法源と実質的法源に分けて解説する。ここでは、形式的法源の一つである慣習国際法に関する諸理論に重点を置く。 3.条約法(1) 次の4とあわせて条約法を概説する。まず条約の締結手続きと留保の制度を取り扱う。 4.条約法(2) つづいて、条約の適用・解釈の問題、条約と第三国の関係、条約の無効原因、および条約の終了原因を解説する。 5.国際法と国内法の関係 国際法と国内法の関係について、その歴史的経緯と理論的問題を概説したのち、国際法における国内法の地位について検討する。 6.国際法の国内的効力 国際法上の規則の国内的実施に際して各国がどのようにそれを実現しているのか、慣習国際法と条約の場合に分けて概説する。 7.国内裁判所による国際法の適用(1) 次の8とあわせて国内裁判所における国際法の適用の問題について、我が国の国内裁判例を中心に概説する。まず条約の適用問題を扱う。 8.国内裁判所による国際法の適用(2) つづいて、我が国の裁判例を中心として慣習国際法の適用の際に生じる問題をとりあげる。 9.国家・政府承認と国家承継 国家成立の要件につづいて、国家承認制度の意義、および政府の変更に伴って行われる政府承認の制度をとりあげる。さらに領域主権の変動に伴って生ずる国家承継の問題を考察する。 10.国家管轄権と主権免除 国家管轄権の行使原則を概説したのち、国内裁判における外国の裁判権免除、すなわち主権免除(国家免除)原則を解説する(強制執行免除の問題も含む)。 11.国家管轄権の域外適用 まず立法管轄権の域外適用の問題を検討したのちに、執行管轄権の域外適用も解説する。 12.外交・領事制度 外交使節および領事制度の沿革、それらの任務、特権免除を概説する。 13.国際法における個人 個人にかかわる問題として、国籍の制度、外国人の地位について概説したのち、犯罪人引渡しの制度と難民の保護について解説する。 14.国際人権法 人権の国際的保護に関する条約上の諸制度を検討する。一般的多数国間条約としての国際人権規約の保護制度、地域的条約である欧州人権条約の裁判制度、および個別条約(女子差別撤廃条約、児童の権利条約等)の制度を概観する。 |
成績評価方法等
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成績評価は、筆記試験の成績を基礎として、プラスマイナス5点の範囲内で平常点を加味する。なお、4回以上授業を欠席した場合は単位を認めない。 |
リサーチペーパー
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無
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教材
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主に配布プリントを使用する。Westlaw Japan Academic Suiteに適宜アップする予定なので、各自ダウンロードの上持参すること。市販の参考書としては、酒井啓亘・寺谷広司・西村弓・濵本正太郎『国際法』(有斐閣、2011年)、松井芳郎編集代表『判例国際法[第2版]』(東信堂、2006年)、小寺彰・森川幸一・西村弓編『別冊Jurist 国際法判例百選[第2版]』(有斐閣、2011年)、杉原高嶺編修代表『コンサイス条約集』(三省堂、2009年)。そのほかについては授業中に指示する。
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到達目標
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上記「授業内容」記載の各項目についてその内容を具体的に説明できるように理解して、上記「概要」記載の成果を得ることである。
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その他
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