京都大学法科大学院 平成25年度 |
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科目名:アメリカ法A[American Law - A] | 担当:木南 敦 | 区分: 選択科目I | ||
配当年次: 2・3 | 開講期: 前期 | 曜時限: 月1 | クラス数: 1 | 単位: 2 |
概要
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アメリカ法はアメリカ合衆国法と個々の州の法という要素からなる。アメリカ法Aは、アメリカ合衆国法(連邦法)と州法の関わりについて注意しながら、州法のうち、不法行為に関する法そのなかでも主にネグリジェンスという領域を取り上げることにする。 授業は、具体的な例を用いながらアメリカ法の重要な概念を理解することと、教材として使用する判決など英語で書かれた法律文献に親しむことも目的とする。 教材は印刷して配布し、参考文献は授業中に適宜指示する。アメリカ法に関する文献は法令や判例を含め、オンラインデータベース(HeinOnlineやWestlaw International)を利用して入手することができる。その利用方法は授業時間中に説明する。 |
授業形式
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講義方式による内容の解説とソクラテス・メソッドを交えながら授業を進める。 |
授業内容
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Erie Railroad Company v. Tompkins 304 U.S. 64 (1938)という合衆国最高裁判所判決は、アメリカのロー・スクールで学んだ者なら知らないものはいない判決である。この事件では、Tompkinsがペンシルヴェニア州内で、Erie Railroad Companyの鉄道線路沿いを夜間歩いているとき、通過した貨物列車に接触して負傷したことから、ペンシヴェニア州の市民であるTompkinsがニューヨーク州法人である鉄道会社に対して、ニューヨークに設置されている合衆国地方裁判所に訴えを提起して損害賠償を請求した。この事件で合衆国最高裁は、これはある州の市民が他の州の市民を訴えた事件として合衆国の裁判所が裁判するものであり、この種の事件において合衆国裁判所が一般コモン・ローを用いて判断することは合衆国憲法上許されることではなく、一般コモン・ローを用いて判断した原審による判決を破棄した。 この授業では、Erie判決を素材として、アメリカ合衆国の法制度に関する基本事項を取り上げ、アメリカ合衆国の法制度の理解を深めることにする。Erie判決を取り上げてから、その理解に資するように事項を順次扱う。その後、Erie事件のような事件の原告の請求をどの裁判所が扱うことができるのかという、裁判所の選択を扱い、さらに、その裁判所が事件に適用する法の選択を扱う。最後に、ネグリジェンスという不法行為を例にとり、裁判官と陪審について取り上げる。最終回の授業はReview Sessionとし、授業で取り上げた様々な事項についてそれを振り返りながら関連を考える。 第2週から第3週まで コモン・ローとエクイティ 第4週から第5週まで 合衆国法(連邦法)と州法 第6週から第7週まで 合衆国の裁判所と州の裁判所、合衆国裁判所の扱う事件 第8週から第9週まで 裁判所の選択 第10週から第11週まで 法の選択 第12週から第13週まで 裁判官と陪審 |
成績評価方法等
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成績は、学期末に実施する筆記試験をもとにして判定する。 |
リサーチペーパー
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無
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教材
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判決その他の英語文献を予習ができるように事前に配布する。 教科書は指定しない。 参考文献は必要に応じて授業のなかで紹介する。 |
到達目標
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法律を扱った英文に接して、理解のための調べものができるようにして、文章の行間を読む知識とその応用力を得ること。
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その他
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あらかじめ配布する教材を予習して授業に出席すれば理解できるように授業を進める予定であり、特段、予備知識は必要がない。
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