京都大学法科大学院 平成29年度

シラバス

企業法務1【前期】


科目名:企業法務1[Business Law and Practice I] 担当:北村 雅史・天野 佳洋 区分: 選択科目II
配当年次: 2・3 開講期: 前期 曜時限: 木3 木4 クラス数: 1 単位: 2
概要
法科大学院卒業後、学生諸君は、将来、種々の局面で、企業法務と接点を有することが予想される。会社の顧問弁護士となれば、企業法務部は当該会社の法律問題全般の相談窓口であり、案件処理は企業法務部との共同作業となる。また、企業が契約交渉・訴訟等の相手方となった場合、当該企業の法務部の意向が、企業の政策決定に影響を及ぼしていることを知ることになろう。さらに、企業法務部に所属し、法曹3者では味わえない、生の経済活動に身を置き、未だ解のない案件処理に専門知識を活かす等、躍動感を味わうことを志向する者もあろう(現時点では、法務部員採用に当たり、司法試験合格の有無を問わない企業も多い。資格を有しインハウス・ロイヤーとなる選択もありえよう)。
とりわけ、大企業は、経済活動のグローバル化対応、コンプライアンス重視の経営に軸足を移していることもあり、これら企業における法務部は、従来の契約内容のチェック中心の活動から、M&A、危機管理、法改正対応等企業の経営に直結した法律問題を扱うようになっている。
本講義では、企業法務の現状、あるべき姿、役割などを理解することで、諸君の将来の活動に資することを目的としており、ゲスト・スピーカーも、企業法務に関係する著名人を招聘することを考えている。
授業形式
授業の形式は、講義形式を基本とする。
参加者の理解度を確認するため、適宜質問をすることによって授業を進めることも考える。
授業内容
 本年度の講義では、ゲスト・スピーカーとして以下の4名(社)の方を招聘する予定である。シラバス作成時点では、日程が確定していないが、4月20日以降を予定している。テーマの変更もありうる。
①阿部一正氏(青和特許法律事務所法律部門相談役、元新日鉄住金総研株式会社社長、元新日本製鐵知的財産部長、司法制度改革推進本部知的財産訴訟検討会委員、経団連経済法規委員会 独禁法問題ワーキンググループ座長等を歴任)
・・製造業のグローバル化と知的財産権
②小松製作所法務部~講師は
法務部長真壁宏氏(NY州弁護士)
山森順平氏(インハウス・ロイヤー)
・・企業法務
③松本峻NY州外国法事務弁護士(伊藤忠商事・住友信託銀行(インハウス・ロイヤー)、マッジ・ローズ・ガスリー・アンド・アレクサンダー法律事務所パートナーを経て、前Latham & Watkins Japan Office マネージイング・パートナー)
松本健太郎氏(株式会社ブリヂストン法務室 コンプライアンス推進部 NY州弁護士)
・・企業のグローバル展開と国際法務 
④三井物産法務部~講師は
同社関西支社業務部法務室室長谷川弘樹氏
同社関西支社業務部法務室松本美緒氏
・・総合商社における国際法務

したがって、以下はとりあえずの、講義予定である。実務の動向次第でテーマの変更がありうる。
第1回 ガイダンス~自己紹介、経営法友会の活動等
CSR・コーポレート・ガバナンス・コンプライアンスの関係~CSRと企業
法務
第2回 コーポレート・ガバナンス
第3回 企業活動とコンプライアンス
第4回 企業におけるリスクマネージメント
第5回 ゲスト・スピーカー(松本峻先生・松本健太郎氏)
第6回 コーポレート・ファイナンス ① 間接金融
第7回 コーポレート・ファイナンス ② 直接金融
第8回 ゲスト・スピーカー(阿部一正先生)
第9回 コーポレート・ファイナンス ③ 証券化 
第10回 ゲスト・スピーカー(三井物産)
第11回 営業秘密
第12回 ゲスト・スピーカー(小松製作所)
第13回 インサイダー取引と企業法務
第14回 株主総会・買収防衛策・株主代表訴訟
成績評価方法等
成績評価は、筆記試験とする。ゲストスピーカーの講演内容も出題範囲とする。
リサーチペーパー

教材
教科書は指定しない。原則としてレジュメを授業中に配付する。テーマにより参考文献を紹介することがある。
到達目標
上記「授業内容」記載の各項目についてその内容を具体的に説明できるように理解して、上記「概要」記載の成果を得ることである。
その他
使用言語:日本語
授業外学習(予習・復習):講義時配布レジュメにつき復習のこと。
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